· 

Reference35開発ストーリー③・商品企画(製品形態の検討と提携先探し)

【写真】中国の変換プラグを得意とするメーカーによる試作実機。既存の変換プラグの筐体を流用し、内部にコンデンサーを取り付けたもの。

 


 前回は試作品から方向性を見出すまでのお話をしました。第3回は、試作品から製品へとステップアップする過程についてお話したいと思います。

実際に販売するとなると、いろいろなことを考えなくてはなりません。端子の種類や接続方法がユーザーのニーズに合っているか、価格帯、外観デザインや仕上げとコストのバランスは適正かなども気になる部分です。特に価格は、企画ロット(生産量)で大きく左右されます。数量が少ないと製品は高価になってしまいますし、かといって大量生産は在庫リスクが伴います。

 当初は、できる限り多くの方が手に取って頂き易いよう、リーズナブルな価格を実現すべく、製造と販売の両面で実績のある企業を中心に提携先を探すことにしました。既にオーディオアクセサリーを扱っているメーカーや商社なら理解を得やすく、部品調達から製造、そして流通などいろいろな面で協力が得られれば、コストを下げられる可能性があると思ったためです。

 

知人の紹介なども辿りつつ、いくつかの企業と話をすることができました。反応は様々でしたが、変換コネクターで著名な中国のとあるブランドを扱う商社の社長さんが興味を示して下さり、非常に短い期間で試作品を手配してくれました。量産性を強く意識した構造で、音質は狙う方向と異なるものでしたが、なんとも有難い話です。意欲とスピード感の両面で、日本のオーディオ業界が非常に活況だった頃を思い出しました。残念ながらこのプロジェクトは諸事情によって中断せざるを得なくなりましたが、製品化への意欲をさらに掻き立ててくれる意義深いステップだったと思っています。


 他方で製品の接続形態も検討を重ね、トレンドを良く知る評論家やライターからも意見を貰いました。汎用性を重視すると、添付の図のように、プラグ変換機能も備えたフィルターのような案が出てきました。

 いろいろな論議や実験は楽しいものでしたが、初号機であり、また、私の原則である「音楽信号には触れない」に従い、最終的には分岐やケーブルも無いシンプルなプラグ型に絞りました。ここで申し上げたいのは、シンプルなプラグ型ありきで進めたのではなく、色々な検討を経てもやはり「シンプルなプラグ型」に落ち着いたという点です。

つまり、Reference35のシンプルな形態は、余分なモノを削ぎ落して凝縮した結晶とも言えます。様々なご要望もあろうかと思いますが、まずはReference35をご体験頂ければと願っています。

 

 次回の第4回は、いよいよReference35の原型とも言える、量産想定1号機についてのお話をしたいと思います。業界で著名なトープラ販売社との出会いは、自力生産の可能性を高めてくれる大きな節目となりました。乞うご期待!