音楽ソースの主役が配信へと移行する今、HiFiファンの間でもコンポーネントとしてストリーミング端末への注目が集まっていますね。
数あるストリーミング端末でも、機能性と柔軟性に優れ、さらに価格も手頃と人気があるのが「WiiM Pro」です。音質面でも「価格以上」、と好評のようですが、HiFi環境ではやや物足りなく感じるのも事実。
そこで今回は、そんな「WiiM Pro」を入手し、ノイズの低減を主軸に音質改善実験をしてみました。自作経験がある方なら可能と思える範囲で対策アイデアをまとめましたので、ご参考になれば幸いです。はんだ作業をされたくない方は、その項目を飛ばしても良いでしょう。
ご注意とお願い)
製品「WiiM Pro」の筐体を開けたり、内部を改造すると、メーカーの製品保証が受けられなくなります。また、損傷等により発熱や発火などのリスクも伴います。作業に際してはご自身の判断(責任)にてお願い致します。
ここでご紹介する対策は以下の3つです。
1) 電源の強化(部品の追加)
2) 電磁ノイズを抑える(パルシャットの貼り付け)
3) ビスを非磁性品に交換する
1) 電源系の強化(部品の追加)
オーディオ機器において電源周りの改善は効果的で基本と言えます。
楽音倶楽部で製造している「YUKIMU PNA-RCA01」を空いているRCA端子に接続するのが簡単ですが、自作派でコストを抑えたい方は、USB電源の5VとGNDの間に、抵抗とコンデンサーを追加されると良いでしょう。今回は、アムトランス社のカーボン被膜抵抗「AMRT 0.5W/33Ω」と、「PNA-RCA01」および「PNA-USB01」で使用している英LCR社のオ-ディオ用スチロールコンデンサー(220pF)を追加したところ、聴感上、周波数レンジが拡大し、特に低域の伸びや締まりの改善を確認できました。
アムトランス社のAMRTは同社のWEBショップなどで入手できます。LCR社製品は日本で入手が困難と思いますが、代替案としてはフィルムコンデンサーをいくつか試して聴感で決定されると良いでしょう。部品を替えるだけで音が変わるのも面白く、自作オーディオの楽しみだと思います。
ほか、端子が搭載されている基板の電解コンデンサーに、パラレルでLCR社のオ-ディオ用スチロールコンデンサー(220pF)を追加すると、聴感上、天井方向に広がりが増して、突き上げ感も出て来るなど好ましい傾向が確認できました。
2)電磁ノイズを抑える(パルシャットの貼り付け)
パルシャットは非磁性の電磁波吸収素材で、表面付近の電磁波を吸収する性質があります。
無線関係の輻射の大きい部分に使うと効果的です。聴感上の効果としては、定位の向上が確認できました。例えば、散漫でビッグマウス気味のボーカルが、フォーカス良くスピーカーの真ん中に定位する感覚です。余力があれば、写真のようにフラットケーブルの表面や筐体の底にもパルシャットを貼り付けると良いでしょう。
パルシャットの原反は小売りされていませんが、オヤイデ電気から両面テープを貼り付けた製品が発売されていて入手可能です。(楽音倶楽部では原反を購入し、吟味した両面テープを組み合わせ、圧力も管理しています。表層の電磁波を吸収するという素材の特性上、パルシャットと貼り付け対象の距離が効果や音色に影響すると考えられます。)
オヤイデ電気製品ページ:
A4サイズ「NRF-005L」 https://shop.oyaide.com/products-nrf-005l-2.html
テープタイプ「NRF-005T」 https://shop.oyaide.com/products-nrf-005t.html
3) ビスを非磁性品に交換する
基板の固定にはビスが使用されていますが、これらは鉄製の磁性品だったため、ステンレス(非磁性)に交換してみました。
些細なことですが、聴感として歪み感が低減する方向に。「YUKIMU PNA-USB01」でもステンレス製の非磁性ネジを採用しましたが、歪み感、雑味が減少し、長時間聴いても聴き疲れしない音になるようです。同じ形状のビスを探すのは難しいと思いますが、大型のホームセンターなら、似たモノが見つかると思います。
ほか、筐体底のバランサーも鉄(磁性)素材なので、筐体を開けたついでに取り外すのも良いでしょう。
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